1000人の笑顔が商店街を彩った日|「まちなか歩いてクイズラリー」取材記

「まちなか歩いてクイズラリー」取材記
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本当に暑かった。でも人の熱気はもっとすごかった

取材当日は7月とはいえ、湿度も気温もかなり高かった。
前日に小雨が降った影響もあり、むしっと肌にまとわりつくような暑さだった。

だが、そんな天気をものともしないほどの人の数だった。
1000人超の親子連れが、市民広場に集まっていたのだ。

「高山市って、こんなに人いたんだ」
そんな率直な驚きから、私の取材は始まった。


大混雑の受付

二部制の配慮と、待つ家族の光景

スタートは2部制。
10時と11時の時間差で、参加者を分けている。
私は11時スタート組の様子を取材した。

市民広場には、スタートを待つ家族の姿があった。
子どもたちは地図を見ながら作戦会議。
保護者は木陰に座って見守る。

どの家族も、穏やかで楽しげだった。
混雑や熱中症リスクを避けるための二部制。
運営側の配慮と努力が、よく伝わってきた。

QRコードを活用して受付を済ませる運営スタッフ

このイベントは観光向けではない。市民のためだ

「まちなか歩いてクイズラリー」は、サマーフェスティバルの一環として行われている。
だが、春や秋の高山祭と違って、観光客ではなく市民が主役だ。

参加者の9割以上が高山市民の親子連れ。
祭りの日に観光地化しがちな商店街を、地元の人に楽しんでもらいたい――
その思いが形になったイベントである。


ゴール!!からのガラバラポンッ!!

商店街と市民をつなぐ、仕掛けが満載だった

子どもたちは、まちなかの3つのチェックポイントを回り、クイズに答える。
問題は商店街のお店や地域にちなんだものばかりだ。

そして、すべて正解すると“ガラガラ抽選”に挑戦できる。
当たれば商店街の商品券や花火のチケットがもらえる。
外れても、全員にお菓子がプレゼントされる。

この仕組みに感動した。
どんな結果でも子どもたちが笑顔で帰れるように。
イベントの最後に“全員がハッピーになれる”ような設計がされていた。


「商品券」はただの景品ではない。商店街への再訪の約束だ

ガラガラで当たる商品券は、地元の商店街でのみ使用できる。
これがとても良い仕掛けだと思った。

商品券を手にした家族は、別の日にまた商店街を訪れることになる。
一度だけではない「つながり」が、商店街と家庭の間に生まれる。

それは、ポイントカードよりも“即効性”がある。
現金と同じ価値があるからこそ、再訪の動機になるのだ。

花火ゲットだぜ!外れてもお菓子はもらえる。

スタッフの多くは商店街の有志だった

抽選コーナーや受付、各ポイントの案内係――
会場のいたるところで、黄色いTシャツを着たスタッフが動いていた。

話を聞くと、多くが商店街の店舗経営者やその家族だった。
「自分たちの街を、自分たちで盛り上げたい」
そんな気持ちが行動に現れていた。

補助金も活用しているそうだが、何より大切なのはその“熱意”だと感じた。


イベントの進化と、改善の積み重ね

このイベントは2024年で第26回を迎えた。
14回目以降は、二部制・事前応募制など運営面が大きく進化している。

一度に1000人を捌くのではなく、時間帯を分けて安全に回す。
スタンプラリーのゴールを14時に設定して、片付けの効率も上げる。

続ける中で改善してきたからこそ、いまのかたちがある。
「やめないことの価値」が、ここにあるのだと強く感じた。

運営スタッフの皆様、ご苦労様です。

子どもたちの笑顔が、商店街の活気を生んでいた

抽選が終わったあと、ある子が「外れた〜!」と叫んでいた。
でも、隣の子と一緒にお菓子を選びながら、すぐに笑っていた。

まっすぐな感情表現。
それを見守る大人たちのまなざしも、やさしかった。

この日、商店街には1000人分の笑顔があった。
それはお金では買えない「価値」だと思う。


「また来たい」と思える記憶を子どもたちに

運営スタッフの方がこんな話をしていた。
「高校生になると、地元を出て行く子が多い。でも、子どもの頃の楽しい記憶が残っていれば、いつか戻ってきてくれる」

このイベントは、ふるさとの“種まき”でもある。
子どもたちの中に「楽しかった商店街」の記憶を残す。

その記憶が、大人になったときの帰郷の動機になるかもしれない。
そんな遠い未来を見据えた活動だ。

ゴール直後はみんな日陰で一休み

時代に合わせた挑戦も始まっている

今年からはQRコードを使った応募受付も始まった。
はがき応募に加え、スマホでの申し込みも可能にしたという。

世代やライフスタイルの変化に対応していく姿勢がある。
一方で、参加人数の上限や予算の壁も現実的な課題だ。

「拡大する」ことではなく、「質を保つ」こと。
それが、今後の方向性として大切にされているようだった。


地域と未来を結ぶ、静かな挑戦

このイベントは、単なる“子ども向けイベント”ではない。
地域の大人たちが本気で考え、準備し、運営している。

「見る側」ではなく「つくる側」になること。
その喜びと責任を、商店街の皆さんが体現していた。

私はこの取材を通して、商店街の底力と可能性を強く感じた。
そして、このような地域に根ざした活動こそが、
これからの商店街の希望になるのではないか――そう思っている。

高山市商店街の取り組みをご紹介

高山市商店街振興組合連合会およびその加盟商店街による多彩な取り組みをご紹介します。
以下のリンク集では、各取り組みの詳細情報をご確認いただけます。

■ 高山まちゼミ(あんきな、まちゼミ)

  • 取り組みの内容:店主が講師として専門知識を無料で地域住民に提供する少人数制講座(ゼミ)。信頼構築と集客につなげる取り組みです。
  • 主催者:高山まちゼミの会、株式会社まちづくり飛騨高山
  • URLhttps://machizemi.hida-ch.com

■ ベビーカーでまち散歩

  • 取り組みの内容:乳幼児と保護者を対象としたまちあるきイベント。記念撮影スポットやプレゼントを設け、ファミリー層に商店街を楽しんでもらう工夫がされています。
  • 主催者:高山市商店街振興組合連合会
  • URLhttp://gifu-kenren.jp/takayama/

■ ディスプレイコンテスト

  • 取り組みの内容:商店街各店舗が季節をテーマにウィンドウディスプレイを競う。観光客や市民が歩いて見て楽しむイベントとして定着。
  • 主催者:高山市商店街振興組合連合会
  • URLhttp://gifu-kenren.jp/takayama/

■ 山桜神社馬頭絵馬市

■ しもいち通りのにぎわいまつり

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この記事を書いた人

都築 宏一のアバター 都築 宏一 はなえみ経営相談事務所 代表

著者 都築 宏一
はなえみ経営相談事務所 代表
教育業界で20年以上にわたり人と向き合い続けた経験をもとに、現在は岐阜県を拠点に「地域の経営相談屋さん」として活動中。
一人ひとりの個性や想いを活かすマーケティングを強みとし、商品やサービスの魅力を丁寧に掘り起こしながら、
中小企業や個人事業主の売上拡大と経営安定をサポートしている。
また、岐阜の魅力を全国に発信し、地域の活性化にも力を入れている。
経営コンサルティングの国内唯一の国家資格:中小企業診断士の資格を保有
2025年主な公的活動
・岐阜県中小企業診断士協会 会員
・第11回 西尾張創業塾 講師
・「岐阜県商店街だより」取材/執筆担当

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